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「ささやかな詩と書の展覧~ことばと書のパフォーマンス」のご報告



純白だったアジサイが薄みどりに色を変え、
善福寺公園にセミしぐれが降る7月最後の真夏の一日、
詩人の白井明大さんが、和紙と硯をたずさえて、赤い自転車に乗ってやってきてくださいました。

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墨をすって、和紙をひろげて、好きな詩歌を、筆にのせて…。
詩人の思いが、生まれて、動いて、夏の時間に流れていきます。

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山之口貘さんの「求婚の広告」は、こんなふうに。

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辻征夫さんの「かぜのひきかた」は、こんなぐあいに。

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そして、お客さまが、一人また一人と訪れて、
書きつけられ壁に貼られた詩篇を辿りながら、思いのままに、読み上げます。
声に出す、音にする、響きを聴く、目でも追う、
時には他の朗読者を追いかけるように読み上げる(シャドウ、というのだそうです)……、
ことばと書をめぐるワークショップは、こんなふうに、はこばれていきました。

ピアノの上、いちばん手前に見える朱い本は、白井さんの第一詩集『心を縫う』。
その奥が、H氏賞最終候補になった第二詩集『くさまくら』です。
まんなかのオブジェは、旬のゴーヤ。
白井さんのおばさまがお見えになって、差し入れてくださいました。

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詩について、輪になって、なごやかに熱心に語り合う、
思潮社と春秋社の編集者のおふたり(手前)と白井さん(茶色のTシャツ)、
そして4人の若き詩人たち。

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みなさんは葉月ホールハウス蔵の古い詩集にも興味深く目を通され、
一篇ずつ読み上げては作者の詩人を当てる、というゲーム(?)にもして、
愉しんでいってくださいました。ありがとうございました…!

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最後に白井さん自作の沖縄詩篇「波照の舞う」の書の姿ですが、
ご覧のようなピンぼけで申し訳ないことでした。
風にたなびくようなことばの流れに、携帯カメラも揺れてしまったようです。

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by hazukihallhouse | 2010-08-05 16:39 | *展覧会のごあんない

「ささやかな詩と書の展覧」のご案内

ささやかな詩と書の展覧 ~ことばと書のパフォーマンス~ 白井明大

2010731日()・8
1日(
11:00~18:00 入場無料

*詩のフリーワークショップ
731日(
16:00~18:00 飛び入り制/参加無料

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詩集『心を縫う』 (詩学社)、『くさまくら』 (花神社、上の写真。装丁はセキユリヲさん)など、
しなやかな日本語を慈しむように紡ぐ詩人・白井明大(しらいあけひろ)さんが、
万葉集や、正岡子規の句、山之口貘、辻征夫、貞久秀紀さんらの詩歌を
みずから書に起こしつつ、また、即興的に詩を書きつけつつ、
静謐な作品世界を展開してくださいます。

初日の夕方からは、詩のフリーワークショップがひらかれます。
講師などを定めず、その場に集まった人同士の呼吸や運動によって、
詩のうまれるさなかへ分け入ってゆこうという、
白井さんとその仲間たちによる実験的な企画です。

真夏の葉月ホールハウスは、
善福寺公園の深緑に包まれて、避暑地のギャラリーのような空気感です。
どうぞふるってご参加ください。

下の書は、白井さんが陶芸家の須藤拓也さんとともに制作した
詩と陶からなる書物『波照の舞う』に寄せた一文字「舞」。
沖縄詩篇にもとりくむ白井さんにとっての「舞」は、かなめともなる大事なことば。
島人の月夜の舞い、島に吹く風の舞い、島の夜に舞い飛ぶ蛍の灯…。

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by hazukihallhouse | 2010-07-07 13:31 | *展覧会のごあんない

*季刊「銀花」40年の軌跡展(2010・4・29~5・16)のご報告

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川の流れのように写し出された、小林庸浩さん撮影による季刊「銀花」。
この川の岸辺に腰を下ろすように、会期中、たくさんの皆様が訪れては、「銀花」を手にとり、読み、味わって、愉しく語らっていってくださいました。
「銀花」の文字を作ってきた人たち、「銀花」の記事を作ってきた人たち、「銀花」に作品や文章を寄せた人たち、「銀花」を愛読してきた人たち、そしてこの展覧会ではじめて「銀花」と出会った人たち……。
ほんの一部ではありますが、そのスナップを何枚かご紹介して最後のご報告といたします。
文化出版局からお預かりしたバックナンバーを取りそろえながらも、次々に完売が出てしまったことは、申し訳なく、また思いがけないことでもありました。
季刊「銀花」40年の底力を知った思いです。


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ホールの入り口から「銀花」の表紙づくしという会場構成。
各1年4冊ごとに表紙のスタイルが変わっていきました。その数161。
40年前の表紙が今も斬新です。

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秩(ちつ)に入れた「銀花」特装本も
グランドピアノの上で
展示販売されました。(左下)
小さな楽屋にも「銀花」がずらり。(右下)
右は「銀花」元編集長の田原さん、
左はフリー編集者の成合さん。
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by hazukihallhouse | 2010-06-03 18:58 | *展覧会のごあんない

*季刊「銀花」40年の軌跡展においでくださった方々~その2

・「銀花」終刊号にいたるまで、四半世紀にわたってエッセイを連載されてきた、高田宏さん。右は奥さま。
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・文化出版局「ハイファッション」元編集長で、出版局雑誌部長もつとめられた、田口淑子さん(中央)。
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・岡山市にある、[GALLERY ONO]のオーナー、小野善平さん。かつて西荻窪にお住まいだったとか。
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・眼鏡をかけて表紙をじっくりご覧になるのは、ギャラリー千雅堂オーナー、本名信作さん。
・天窓の下で気持ちよくピアノを弾く、寿里さん母子。左下は、上智大学で哲学をまなぶ菅家智代さん。

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・左上は会期中、何度も熱心に観賞していって下さった方。右上は、ガラス作家・松島巌さんのご長男・一郎さん。
・善福寺公園に向けてホールの大窓をフルオープン。新緑の森。五月の風。気持ちいい~、の声があちこちで。
・看板犬ぽちたも16歳の高齢ながら時折り登場、がんばりました。
by hazukihallhouse | 2010-06-03 17:39 | *展覧会のごあんない

*季刊「銀花」40年の軌跡展においでくださった方々~その1

1970年の季刊「銀花」創刊以来、すべての表紙デザインに絶大な力を尽くされた、日本を代表するグラフィックデザイナー杉浦康平さんが、5月15日の土曜日の昼下がり、お忙しい合間をぬっていらしてくださいました。
すがすがしく美しい161通りの表紙の前で、「銀花」の幸福な40年間を物語る、またとない一枚となりました…!

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「静止した無表情な瞬間でなく、動的な揺らめく時空を、生き生きとした表情を生みつづけること、これが『銀花』の表紙の主題であった」…と、杉浦さんは「銀花」への思考と試行について、ご自身の思いを綴られています。その思いをかみしめるように、1号1号、表紙のたたずまいを見て回られる杉浦さん。奥さまの加賀谷祥子さん(下の写真、右はじ)、「杉浦康平プラスアイズ」スタッフの新保韻香さん(上の写真、左はじ)、青戸美代子さん(「銀花」最後の編集長。上の写真、杉浦さんの左隣り)、そして教え子のみなさん方を交えて往時の思い出話にも花が咲き、季刊「銀花」の軌跡展にふさわしい、馥郁たる時間が流れていきました。
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杉浦康平さん同様、すべての「銀花」に比類のない力を発揮された方に、写真家の小林庸浩(つねひろ)さんがいらっしゃいます。
小林さんは、土曜日の朝、おひとりで、開けたばかりのホールに入っていらっしゃいました。
ひょうひょうとした身のこなしに、それが「銀花」を支えた熟達の写真家・小林庸浩さんであると気づくまでに時間がかかり、お姿の写真を撮りそびれました。写真家に携帯カメラを向けるというのも勇気のいることではあります。
というわけで、小林さんの手になる、「銀花」のきわだつ美しさの一枚を以下に。「銀花」表紙づくしの絶景です。

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by hazukihallhouse | 2010-05-26 11:03 | *展覧会のごあんない

*季刊「銀花」40年の軌跡展によせる朗読劇~[掌の宇宙]公演 (2010・5・15) のご報告

~その1

季刊「銀花」最後の編集長・青戸美代子さんが、この日の朗読劇が生まれるまでのいきさつを、
満場のお客さまに向けて語ります。きっかけは、演出家からの一本の電話だったと…。

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そして7人の俳優たちが登場、"手"という文字を大きく墨で描いて…

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「"手"をめぐる四百字」…。この一冊に収められた、
手書きの掌編をもとに創作した朗読劇~[掌(てのひら)の宇宙]~の始まりです。

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by hazukihallhouse | 2010-05-26 10:59 | *展覧会のごあんない

*季刊「銀花」40年の軌跡展によせる朗読劇~[掌の宇宙]公演のご報告

~その2


e0151902_15262877.jpg山根基世さん作・
「何でもする手」より、
わが子を
みずからの手で殺めた
女囚を演じる、
萩原明子さん。




e0151902_15255386.jpg中村桂子さん作・
「手」を演じる塚原ゆうきさん。

「神様は手を与えてくださった 
イチゴを育て 
ゆっくり味わうように 
バラを咲かせ 
窓を飾るように」……


e0151902_15252779.jpg小川洋子さん作・
「小説に触れる」を演じる、
五味万里子さん。

「自分の小説も
見ず知らずの誰かの手に、
敬意をもって
触れられたのだろうか」……





by hazukihallhouse | 2010-05-26 10:49 | *展覧会のごあんない

*季刊「銀花」40年の軌跡展によせる朗読劇~[掌の宇宙]公演のご報告

~その3

上演中、俳優さんたちは一度も舞台を去ることなく、主人公になったり、脇役になったり、時には舞台装置、効果音の役をも担って、手をめぐる四百字のドラマを構築していきます。
下は、山根基世さんの書いた「何でもする手」より。イスに座るのは、わが子をその手で殺めた女囚という設定。
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出久根達郎さん作・「キッス」の一場面より。新婚間もない夫が妻に、手は僕らの唇だろう、だからキスだよ、と。
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俳優さんたちの実人生も、四百字の「僕らの手」となって表現されて、それぞれに、みずみずしく、演じられました。
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by hazukihallhouse | 2010-05-26 10:39 | *展覧会のごあんない

*季刊「銀花」40年の軌跡展によせる朗読劇~[掌(てのひら)の宇宙]~ご報告

~その4

e0151902_15502556.jpg 又吉栄喜さん作・
「(空)手」を演じる、
田中孝治さん(右)と、
青山義典さん。

~沖縄では
空手を
空手とは言わずに
「手」と言う。
一つ一つの型が
心を表現している。
手にすべてを
込めている。~



横尾忠則さん作・「宇宙の手」を演じる、杉山快俊さん(下)。

~手が霊感に忠実に従って、手が装置になっていることが大事なのである。~

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                       野村万之丞さん作・「手」を演じる、加治屋章介さん。

~三位一体の鼎(かなえ)という考え方を、両の手は私達に教えてくれるのである。何とすばらしいことではないか。
by hazukihallhouse | 2010-05-26 10:31 | *展覧会のごあんない

*季刊「銀花」40年の軌跡展によせる朗読劇~[掌の宇宙]公演のご報告

~その5

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手というものの
大いなる力。
それは季刊「銀花」が
追いつづけた
主題でもありました。





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ひたむきな演技が
観る者の心を震わせて…、




劇場と呼ぶにはあまりにも小さな場所で、
互いの息づかいを感じながら共有した濃密な演劇空間。
7人の俳優と、50人の観客と、
それを見守る壁いっぱいの161冊の季刊「銀花」がもたらした、
忘れられない一夜となりました。


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そしてもうひとり、舞台をかげから見守っていたのは、演出の山下晃彦さん。


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「”手”をめぐる四百字」の連載が始まったのは季刊「銀花」が百号を迎えた時。
当時の編集長・萩原薫さんも駆けつけてくださって(左)、
田原秀子さん(中央)、青戸美代子さん(右)と三代そろった編集長ユニットに
お客さまから惜しみない拍手が送られました。


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お見送りも果たして、すべてが終了。お客さまに支えられました、と俳優の皆さん。

この日の舞台写真はすべて竹内幸史さんによるものです。ありがとうございました!
by hazukihallhouse | 2010-05-26 10:28 | *展覧会のごあんない